柏木:成長戦略で言うと、米国はCCUS(CO2の回収・貯留・活用)を組み合わせた水素ハブなど、投資を呼び込むためのハブ構想を熱心に打ち出しています。フランスではいかがでしょうか。
野田:フランスはそれほどハブ構想に長けているようには見えません。ハブづくりが優れた国と言えばシンガポールです。
「水がない」という課題を解決するために世界中から最先端の水処理関連企業を集め、水のグローバルハブをつくりあげています。実証実験をしながらイノベーションを生み出し、世界へとソリューションを展開しています。今はエネルギー分野でもハブ構想を推進しています。
日本は全国100カ所に「脱炭素先行地域」を創出しようとしていますが、戦略的に幾つかのハブを形成し、課題を解決する取り組みも必要だと思います。地方にハブとなるエコシステムを構築できれば、東京一極集中の解消にもつながります。地方の大学からスタートアップが生まれ、世界の投資家からお金が集まり、地産地消が進むような、自立した地域のエコシステムを戦略的につくることが大事ではないでしょうか。
柏木:従来の経済メカニズムは大量生産、大量消費、大量廃棄という一方通行型でした。地域でエコシステムが出来上がればサーキュラー型になります。岸田政権が打ち出す「デジタル田園都市国家構想」にもつながります。アジアなど海外への輸出も可能になりますね。
野田:その通りです。日本で構築したエコシステムは都市やエネルギーのソリューションとして、またサーキュラーエコノミーのソリューションとして、世界に展開できます。
サーキュラーエコノミーについては、今は欧州が主導していますが、日本には3R(リデュース、リユース、リサイクル)を20年以上にわたり進めてきた実績があります。バリューチェーン全体をサーキュラー化し、そのソリューションを世界に展開することは日本の成長戦略にも大いに貢献すると思います。
柏木:国内の小さなサーキュラーからアジア圏に広がるサーキュラーまで、地域に合うエコシステムを構築することが重要ですね。
今井:全く同感です。日本は地域でのコージェネシステムの普及も進んでいます。その効率をもっともっと向上させ、エネルギーを地産地消するエコシステムとしてアジアに輸出するという構図を目指したいところです。