柏木:自由化したとは言っても、やはり計画経済的な要素を入れていく必要がありますね。
大規模電源が足りないのなら分散型電源をつくるしかありません。トランジション期の今は、まず再エネの調整用電源ともなるコージェネレーション(熱電併給)システムで省エネを図る。徐々に化石燃料を合成燃料へと転換し、ゼロエミッションに近づけるという取り組みが必要だと思います。
フランスを本社とするヴェオリア・ジャパンはトランジション期の今、日本でどういう戦略を取りますか。

野田 由美子(のだ・ゆみこ)氏
ヴェオリア・ジャパン代表取締役会長
東京大学卒、ハーバードビジネススクール卒(MBA)。 日本長期信用銀行本店、ニューヨーク支店、ロンドン支店を経て、PwC(英国)ディレクター、PwCアドバイザリー(日本)パートナー、横浜市副市長、清華大学日本研究センターシニアフェロー等を歴任。2017年にヴェオリア・ジャパン代表取締役社長に就任、20年より現職。一般社団法人日本経済団体連合会審議員会副議長及び環境委員会委員長、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議構成員、アジア開発銀行 Water Advisory Groupメンバー等を務める。
野田:ヴェオリアは1853年の創業以来、自治体や企業向けに水とエネルギーと廃棄物に関するソリューションを提供し成長してきました。長年蓄積してきた専門性を活かし、日本でもエコロジカル・トランスフォーメーションの実現を目指します。
現在、水については上工水道処理を手掛けています。廃棄物に関してはプラスチックリサイクル工場や有害廃棄物処理場を運営しています。エネルギーについて森林の間伐材、公園や街路樹の剪定枝、下水汚泥など、それぞれの地域にある資源を活用したバイオマス発電所の運営を行っています。
柏木:日本ではプラスチックの資源循環を促進する取り組みも始まっています。ヴェオリア・ジャパンはどんな方針で取り組んでいますか。
野田:ヴェオリアのコンセプトは「廃棄物に第2の人生を」です。プラスチックも単純に焼却をせず、資源としてもう1回役割を果たしてもらいます。また、今までは元の製品よりもダウングレードした形でリサイクルする「ダウンサイクル」が多かったと思いますが、今後は使用済み製品を同じ製品にリサイクルする「水平リサイクル」に挑戦します。
柏木:プラスチックと他の素材を接着したり溶接したりすると、頑丈にはできてもリサイクルは難しくなります。リサイクルやリユースしやすい設計手法の導入が重要ですね。
野田:おっしゃる通りです。欧州では設計段階からリユース・リサイクル・修理性といったサーキュラリティーを奨励した「EUエコデザイン指令」が発令されています。静脈産業と動脈産業が連携し、どういう素材を使い、どういう設計をすれば水平リサイクルが可能か、低コストでリサイクルしやすいかと議論しながら開発しています。
日本では動脈と静脈が分断され、連携が不足しています。「ゴミを出さない」という発想で設計・製造から共同で取り組むことが必要です。ヴェオリア・ジャパンは既に花王やユニリーバ・ジャパンなどと、シャンプー・洗剤のプラスチックボトル容器を水平リサイクルする実証実験を進めています。
重要なのは、カーボンニュートラルはエネルギー・トランジションのみでは実現できず、サーキュラー・エコノミーによるマテリアル・リサイクルが必要であることです。