スペシャルリポート

カーボンニュートラルがもたらす需給構造の大変革
国際的な枠組み構築しエネルギー安定供給の確保を

エネルギーセキュリティの確保、カギは水素化

柏木:世界では、それぞれのエリアでバランスよいエネルギーミックスを実現しようとしています。例えばEUの場合、ドイツが今も3割を石炭火力に頼るなど、1国では得意な電源に集中していますが、EU全体では見事なエネルギーバランスです。

 一方、国際連系線も持てない島国の日本にはそれは難しいですね。2021年10月に公表した第6次エネルギー基本計画では、水素・アンモニアという2次エネルギーを電源構成に位置づけ、選択肢を増やす形としました。珍しい取り組みだと思います。

今井:エネルギーセキュリティを考慮する上ではバランスよいミックスが重要です。1つの電源に50%以上依存しない構成にしなくてはなりません。

 電気がエネルギーに占める割合は3割ほどで、残りは熱です。まずは、この熱需要をどうまかなうかがポイントです。低温熱需要は電化し、高温熱需要は水素化するしかないと思います。

 今、日本の年間消費電力は約1兆kWhです。2050年にはおそらく1.7兆kWhぐらいになるでしょう。2割は省エネで削減し、太陽光と風力と原発で2割ずつまかない、残る2割はガスと石炭とするというのが私の考えです。それを水素化することが課題です。

柏木:カーボンニュートラルを横目でにらみつつ、エネルギーセキュリティを考えると、大事なのは省エネであり、電化、水素化ということですね。水素はCO2と結びつけて合成燃料化できます。これらをエネルギーミックスに入れることができれば、エネルギーセキュリティが確保できます。

今井:国内であまった再エネ由来電力でグリーン水素が生成できれば理想的ですが、当面は難しい。しばらくは、化石燃料とCCS(CO2の回収・貯留)を組み合わせたブルー水素を使うしかないと思います。天然ガスが豊富なサウジアラビアやカタールから、石油と抱き合わせで水素を輸入するような形でしょう。

柏木:かつて日本では、総括原価方式の下、旧一般電気事業者がピークに合わせて電源を確保していました。エネルギーの自由化によって、供給義務のなくなった事業者は、稼働率が悪く非効率な大規模電源は持とうとしなくなりました。それが現在の電力の需給逼迫の原因にもなっています。果たしてこの自由化は正解だったのでしょうか。

今井:発電能力を取引する「容量市場」の設計がないままに自由化したのは問題でした。太陽光や風力など、変動性の高い再エネの導入を拡大するには、大規模発電事業者が発電施設に投資できるよう、電源容量に応じて対価が支払われる仕組みが必要でした。

 当初の設計ではうまくいかないとわかり、ようやく容量市場がスタートします。次は予備力オークションも必要でしょう。送電事業者も総括原価で発電コストを持つシステムにしないと回らないと思います。

 
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