スペシャルリポート

百花繚乱のエネルギーシステムと今後の展開
環境性の正確な情報開示で
カーボンニュートラル実現を

カーボンプライシング導入で選択が変わる

柏木:これからカーボンプライシングが導入され、環境価値が顕在化するようになれば、エネルギーの選択も変わる可能性がありますね。

井上:以前はインターナルカーボンプライシングを実施する企業も、形式的に3000~4000円/tほどに設定することが多かったのですが、最近は本格的に1万5000円~2万円/tで設定する企業も出てきました。

 投資の意思決定時には、そのコストを加味しますから、以前は経済的に成り立たなかった石炭から天然ガスへの転換も可能になってきました。コージェネを導入するお客様からは「ゆくゆくは、メタネーションによってカーボンニュートラルなガスを使えるようになるよね。なるべく早く採用したいので、その研究開発を頼むよ」といった言葉をかけていただくこともあります。背筋の伸びる思いです。

柏木:建屋やエネルギーの環境性に関する情報をいかに開示し、利用者や消費者と共有化するかも重要な課題です。どのような取り組みが進んでいるのでしょうか。

伊藤明子(いとう あきこ)氏

伊藤:建屋に関しては、2024年度から、建築物を販売・賃貸する事業者が省エネ性能ラベルを表示することが努力義務となりました。目安光熱費が含まれるオペレーショナルな省エネ性能の開示については、緒に就いたといえます。一方、建物の存在そのものの環境性の情報開示については、日本ではまだ進んでいません。例えば、材料に木を使う場合でも、どういう方法で乾燥したのか、どのエネルギーを使ったのかによってCO2排出量は変わります。鉄も同じです。

 それらを積み重ね、建物そのもののCO2排出量を割り出し、オペレーショナルな部分のCO2排出量と合わせて、全体のCO2排出量を評価するというのが、今後進むべき方向性です。

 既に、欧州では、建設に関するCO2排出量の公表を義務づける国もあります。米国でも、ライフサイクルCO2排出量の上限を設定し、超える場合は支払いが必要とするところもあるようです。

 
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