スペシャルリポート

百花繚乱のエネルギーシステムと今後の展開
環境性の正確な情報開示で
カーボンニュートラル実現を

一方通行の経済・物質システムをサーキュレーションにする

柏木孝夫(かしわぎ たかお)

柏木:大量生産、大量消費、大量廃棄という一方通行の経済・物質システムを、持続可能にするためには、循環型にすることが必要不可欠です。

伊藤:食品、衣類の大量生産、大量廃棄が問題になるなか、フランスでは、リサイクルなどの〝出口〟を考える方向の規制が適用され始めています。食品は、フードバンクへの寄付などにより大量廃棄を禁じていましたが、最近、衣類も対象になりました。

井上:エネルギーの分野でいえば、排熱と言われていたものをカスケード利用するコージェネシステムは、サーキュレーションを実現する1つの形といえます。メタネーションもCO2と水素の化学反応でメタンを再生するサーキュレーションです。

 家庭や地域で、蓄電池を使ったり融通し合ったりして需給を調整するエネルギーマネジメントも広義のサーキュレーションととらえることができます。例えば、大阪ガスのエネルギーマネジメントシステム「Energy Brain」はクラウドにデータを上げて、需要などの各種予測を行い、コージェネや空調設備等を最適制御する仕組みで、エネルギーを無駄にせずにうまく使うことができます。エネルギーの世界でも、サーキュレーションのコンセプトは、実現しつつあります。

柏木:最後に百花繚乱のエネルギーシステムの今後について、一言ずつお願いします。

伊藤:エネルギー問題は安全保障、カーボン対策、産業政策、技術革新、デジタルトランスフォーメーション(DX)と、多岐にわたる分野と密接に関係しています。広い視野で目配りする必要があります。

 カーボンニュートラルの動きに関しては、スケジュール感を意識すべきです。建物のCO2排出量も、今すぐすべてを計算できるものではありません。ただ、いずれ必ずそういう時代はやって来ます。その認識をしながら、今は何を準備すべきかを企業内や企業間で、また消費者との間で、共有することが大切です。消費者の行動変容を促すわかりやすい情報開示に努めていただきたいと思います。

井上:エネルギーの世界では、サプライサイドもデマンドサイドも多様性にあふれ、まさに百花繚乱です。多くの選択肢を持ち、柔軟なシステムを作ることが、結果的にレジリエンスにつながります。コージェネはその中心的な役割を果たす存在だと思います。

柏木:エネルギーシステムには今、多くの選択肢があります。従来は1次エネルギーのみの選択肢で、「原子力か再生可能エネルギーか」と議論をしていました。今は2次エネルギーの選択肢も、エネルギー源の選択肢もあります。そもそも大規模型のエネルギーシステムか、分散型のエネルギーシステムかという選択肢もあります。まちづくりの選択肢も関係します。何を選ぶかで、環境性やセキュリティーが変わってきます。

 その時に重要なのが情報開示です。正確な情報をわかりやすく開示し、納得した上で選択してもらう。エネルギーシステムが百花繚乱になる中では、それこそがカギになります。今日のお話を参考に、一層のコージェネ発展に尽力いただければと思います。

一方通行の経済・物質システムをサーキュレーションにする

 
前ページ前ページ 123456 次ページ次ページ
 
スペシャルリポート 記事一覧