スペシャルリポート

カーボンニュートラルの実現と新しい街づくり
オープンイノベーションで新たな価値創出を

価格差支援で水素価格がどこまで下がるかがカギ

柏木:天然ガスから水素を1kgつくる時には5.5kgのCO2を排出します。「水素基本戦略」では、CO2排出量3.4kg以下のものをクリーン水素としていますから、CCS(CO2の回収・貯留)などを加える必要があります。「水素社会推進法」は、価格差支援などクリーン水素の供給、利用を促進する施策を盛り込んでいます。水素については、これからどれだけ価格が下がるかがカギですね。

 そのほか、カーボンニュートラルの街づくりを進める上で必要と思う取り組みはありますか。

宮本:以前から様々な場で言っているのですが、日本は水に恵まれた国であり、水力発電をもっと活用すべきだと思います。日本の川は急峻で、雨が降っても大半は海に流れ出てしまいます。海外を見れば、ミシシッピ川もナイル川も蕩々と流れ水が蓄えられています。日本で水を蓄え、水力発電に利用することは重要な取り組みだと思います。下にもう1つダムをつくれば揚水発電も可能になります。いわば、ダムが巨大な蓄電池の役割を果たすわけです。

 ヨーロッパで洋上風力発電が盛んなのは、遠浅の地形や一定方向に吹く風などの自然環境に恵まれているからです。日本にはない条件ですが、ないことを嘆くのではなく、恵まれた自然を活かしてエネルギーを得ることを考えるべきです。

千葉大学大学院工学研究院教授 村木 美貴 氏

村木:新しいエネルギーが出てきた時、既存の都市の中に持ち込もうとすると必ずハレーションが起きます。今、水素でもそれが起きています。私の学生が東京都のバスの燃料をすべて水素に転換できるかを調査したところ、それには水素ステーションが不足していることがわかりました。用途地域の規制は緩和されましたが、それでも新たに設置するには地元住民の理解が必要です。街の中にいかに新しいエネルギーシステムを構築するか、エネルギー源をどう配置していくかは重要な課題だと思います。

 もう1つ、エネルギーの見える化、脱炭素の見える化が重要です。街には新規の建物だけでなく既存の建物もあります。それらのストックがどれだけエネルギーを使い、CO2を排出しているか、改善によってどれだけグリーンになるかといった見える化によって、省エネビルの存在価値を高めることが重要です。

 
前ページ前ページ 123456 次ページ次ページ
 
スペシャルリポート 記事一覧