
柏木 孝夫(かしわぎ・たかお)
東京科学大学名誉教授/コージェネ財団理事長
1946年東京都生まれ。1970年東京工業大学(現 東京科学大学)工学部生産機械工学科卒。1979年博士号取得。1980~1989年米商務省NBS(現NIST)招聘研究員、1988年東京農工大学工学部教授などを経て2007年東京工業大学大学院教授に就任。2012年東京工業大学名誉教授に。専門はエネルギー・環境システム。2003年日本エネルギー学会学会賞(学術部門)、2008年文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)など受賞多数。経済産業省総合資源エネルギー調査会本委員、同省エネルギー・新エネルギー分科会長、水素・燃料電池戦略協議会座長等を歴任。著書に『スマート革命』『エネルギー革命』『コージェネ革命』『超スマートエネルギー社会5.0』など。
柏木:建物、交通、通信、エネルギーと様々な要素が関係する街づくりにおいては、何もない土地の方が最新のものを導入できます。発展途上国のアジアの国々と組んだプロジェクトなども有望ではないかと思いますがいかがですか。
宮本:当社はまだ手掛けてはいませんが、可能性は十分にあると思います。アジアの国々でいうと、韓国はその時々の政権によって日本への意識も変わってしまうので難しい面があります。台湾やASEAN諸国との連携はこれから出てくるかもしれません。開発が進んでいないアフリカなどで展開することを考えてもいいかもしれません。
スマートシティに関しては、むしろインドネシアやフィリピンなど、日本よりも進んでいる国もあります。海外で培ったノウハウを日本に持ち込む形があってもいいのではないかと思います。
柏木:街づくりには国や自治体が関係します。海外でスムーズにビジネスに結びつけるには、どのようなプロセスが求められるでしょうか。GtoG(Government to Government)の取り組みが必要ですか。
宮本:GtoGで合意ができたところに企業が出て行くというのがスムーズだと思います。中国が広域経済圏構想「一帯一路」でアフリカでのプレゼンスを高めているのも、政府の関わりがあるからです。
柏木:政府や行政の関わりという点で、日本と諸外国では違いがありますか。
村木:イギリスの地方自治体には長く専門職に就いている方がたくさんいらっしゃいます。日本の行政は2年ぐらいで異動するので、カーボンニュートラルのプロジェクトを進めようとしても知識のない方になってしまうことがあり、プロジェクト進行の課題になっていると思います。
スピードも課題です。行政が関わる開発では、計画の立案に時間がかかります。その間に新しい技術が生まれ、またその議論に時間をかけるという状況になりがちです。常に一番良いものを社会に取り込む仕組みをつくっていくことが必要だと思います。
海外では、「やってみてうまくいかなかったら止める」というケースもよくあります。日本の場合、できるかどうか検証に検証を重ね、結局やらないとなってしまう。2050年カーボンニュートラル達成には、やれることをどんどんやらなくては間に合いません。