柏木:最後にカーボンニュートラルを実現する街づくりに関して、それぞれの立場で要望や提言があればお願いします。
村木:自治体が住民に対して実施したアンケートなどを見ると、数年前に比べカーボンニュートラルへの関心は高まってきています。ところが、実際の要望として出てくるのは「自宅の近くに道路を通してほしい」「公園を整備してほしい」といった身の回りのことばかりです。それを考えると、カーボンニュートラルに関係する事業は他の事業と抱き合わせることが重要ではないかと思います。
例えば、防災事業に関連して脱炭素の取り組みを進める、公園を整備する際に「Hydro Q-BiC」のような分散型エネルギーシステムを設置するといった形です。市民の安全に脱炭素を重ね合わせることで、住民の関心や共感が得られるように思います。
宮本:「再エネを極力使うべき」「カーボンニュートラルに取り組むべき」ということは誰もが頭ではわかっています。ところが、トランプ大統領が「シェールガスを増産する」と語った途端、「何とか輸入できないか」という話が持ち上がります。企業は競争に勝ち残るため、いかに効率良く、安くつくり、売るかという発想になってしまうのでしょう。
気候変動の問題は地球の存亡に関わると認識し、「コストがかかってもやる」という方向に切り替える必要があります。日本では太陽光発電が拡大しましたが、そのコストは電気代に上乗せされて一人ひとりの国民が支払っています。既に痛みは伴っているのです。そうしなければ我々の子孫は生きられないと理解し、国民の間にカーボンニュートラルへの意識を醸成していくことが重要だと思います。
柏木:政府は再エネ発電事業を継続できるプレーヤーを「長期安定適格太陽光発電事業者」として認定する仕組みを導入し、優遇措置をつけることも検討しています。再エネの普及拡大のため、引き続き、政策とユーザーとが一体となって取り組む必要があります。
米国がパリ協定を離脱したとしても、我が国がカーボンニュートラルを目指すべき状況に変わりはありません。今回、議論に出たように、GtoGを皮切りにオープンイノベーションで取り組む。水素や水力発電を利用する。国民の機運を高める。そういうことを一つひとつ積み重ね、カーボンニュートラルを実現する街づくりを進めてほしいと思います。
